ai_math_runningのブログ

最近はAI関係の記事が多い予定です。一応G検定持ってる程度の知識はあります。

全身のバネで弾む(ランニング理論入門)

前回の原稿で、「膝だけでなく、全身のバネで飛びたい」と書きました。では、全身のバネで飛ぶって、どういう事なのでしょう?

全身のバネで飛ぶ、とは

全身のバネで飛ぶとは、「頭のてっぺんから足裏までを一本の棒状のバネ」と見立てて、全身を少しずつ縮めて復元する力で飛ぶ事を言います。汚い図ですが、下のような感じです。

足首が少し曲がり、膝も少し曲がり、股関節が曲がって骨盤が少し前傾し、背骨は元々S字型に少し湾曲しているのが、たわんでカーブのRが深くなって全体として縮み、といった感じで、全身が少しずつ縮みます。その縮んだ全身が復元する事で、バネとして地面を押し、その反作用で地面から力をもらって飛ぶ事になります。
なので、足首や膝も、当然曲がります。ただし、それだけじゃない、そこがメインじゃない、というのがミソです。
着地の衝撃は、曲がっている部分に集中的にかかってしまうので、一箇所を大きく曲げずに全体に負荷を分散する、そのために、「全身を少しずつ縮めてバネとする」のです。
(あと、細い部分、弱い部分(足首や膝)よりも、太い部分、強い部分(骨盤や背骨)により負荷がかかる方が望ましい、というのもあります。もっとも、腰周辺に負荷をかけ過ぎると腰痛になってしまうのですが。)

縄跳びはランニングの練習になるか

全身ジャンプの練習として、縄跳びが良いという話があります。

もちろん、縄跳びはある程度はランニングに役立ちます。それは、効率の良い連続ジャンプが身に付くからです。
効率よく連続ジャンプするには、1回1回自分で飛ぶのではなく、着地の衝撃で筋肉が伸び縮みし、その反動で(特に伸びた筋肉の伸長反射で)跳ね返るように跳躍する、それをくりかえるのが良いです。これができると、体感的にはほとんど力を使わずに弾み続ける事ができます。

しかし、縄跳びでできる連続ジャンプは、恐らく足首と膝だけを使った伸長反射のジャンプになりがちです。縄跳びは、せいぜい数百回程度の連続ジャンプで終わりますが、ランニングは、長い距離だと数万回レベルの連続ジャンプ運動になります。なので、縄跳びでは保つ「足首と膝だけの連続ジャンプ」がマラソンとかだと持たなくなってしまうのです。
(もちろん、数万回レベルで縄跳びで飛ぶ練習がやれるなら、良いとは思いますが、縄跳びで上半身を使うのは難しいので、結構辛いのではないかと思います。)

特に上半身部分のバネを使うトレーニング法

では、上半身のバネを使うトレーニング方法はないのでしょうか。

あります。それは「棒ジャンプ」、下の図のようなドリルです。

例えば、鉛筆のような「真っ直ぐな棒」を机とかに真っ直ぐ落としてやると、真っ直ぐ跳ね返ります。少しでもズレるとキレイに跳ね返りません。そのイメージで、全身を棒に見立てて真っ直ぐ落として跳ね返るようにします。
その時、重要なのは、足のバネを使わない事です。なので、つま先ではなく踵付近(踝の真下あたり)で着地するようにします。膝もロックして使わないようにします。そうする事で、上半身のバネだけで飛ぶようにするのです。
といっても、足のバネを使わないと、恐らくほとんどの人は飛べないでしょう。そこで重要になるのが「腕振り」です。
腕振りをジャンプとしっかり連動させる事で、足のバネを使わずに飛べるようになります。この場合の腕振りは、上下のジャンプなので上下に振ります。左右対称なので右左同じ動きです。着地の時に地面を押すようなイメージで腕を下げ、ジャンプするのに合わせて手首を脇下に持ち上げるように腕を上げます。勢いとしては手首を脇下にぶつける感じです。
この時に、ちゃんとまっすぐに着地して、腕振りのタイミングがしっかり合えば、飛び続ける事ができます。
(これ、やってる人は多いですが、やっぱり難しいみたいです。この前短距離のトレーニングをやってる所を見かけて、これもやっていたのですが、足首のバネをしっかり使ってしまっていて、それじゃ意味ないよな、と思ってしまっていました。もっとも、私も結構怪しいですが。。。)


この棒ジャンプをする事で体感して分かる事が2つあります。
1つ目は、腕振りが体幹を操作するキーである、という事です。良く、体幹を使って走れ、なんて言われますよね。でも、では具体的にどういう動作をする事が「体幹を使う」事になるか、は、あまり明確に語られていません。
(なので、以前、体幹ブームがありましたが、ブームで終わってしまったのは、その辺りがあると思っています。)
でも、腕振りを上手くやると、自然と体幹が使えるのです。棒ジャンプでも、腕振りをタイミング良く行う事で、上半身のバネが使えました。そのように、腕振りによって体幹の力を上手く使えるのです。
2つ目は、腕振りのタイミングの重要性です。棒ジャンプでは、腕振りのタイミングが決定的に重要でした。しかし、ランニングでは腕振りのタイミングは軽視されていると思います。
(またいずれやりますが、腕振りのタイミングを合わせるドリルがあります。これをやってもらうと、大抵の人は腕振りのタイミングが少し遅れている事に気が付きます。)
棒ジャンプには、そういった教育的な意味合いもあるので、是非ともやってみて下さい。