ai_math_runningのブログ

最近はAI関係の記事が多い予定です。一応G検定持ってる程度の知識はあります。

厚底シューズのスウィートスポットとは(ランニング理論入門)

厚属シューズ、ブームですよね。
厚属シューズについては、以前に説明を書きました。

ai-math-running.hatenablog.com

かいつまんで書くと、Nikeの厚底シューズは、パワーポジションで接地位置が重心の真下近くに来て地面を真っ直ぐ押すようにフォームを矯正するシューズだ、という話でした。

それで、最近は、Nike以外のメーカーも厚底シューズを出すようになりました。その中の一部のメーカー(特に中国メーカー)では、市民ランナー向けにも使いやすいと評判です。それは「スウィートスポットが広いために市民ランナーレベルでも厚底の恩恵を受けられる」という事だそうです。
今回は、これについて説明を加えたいと思います。

厚底シューズのスウィートスポットとは

先に説明した通り、厚底シューズは、パワーポジション(一番力が加わっている状態)の時に重心の真下に接地位置がある、言い換えると接地位置の真上に重心があって、シューズに真っ直ぐ下向きに力を加える事で、厚底内のカーボンプレートが押しつぶされ、その反発を感じる事ができるシューズでした。そして、反発を感じるように走る事で、パワーポジションの時の接地位置が重心の真下になるようにランニングフォームが矯正されるのが、厚底シューズで速くなるメカニズムでした。
もっとも、完全に真下になるのは難しいのですが、ある程度の範囲になっていればカーボンプレートのバネが働くようになっているようです。そこで、シューズのバネが働く範囲をスウィートスポットと呼ぶようになりました。

このシューズは、プロや実業団の選手、学生のトップクラスの走力がないと恩恵が受けられない、と言われています。それは恐らく、重心と接地位置の関係をスウィートスポットの範囲内にするのが難しく、トップレベルの競技能力がないと難しいから、でしょう。近い範囲にできていたランナーなら、練習すればスウィートスポットの範囲内にできるようになるでしょうが(そして、それは効率の良い走りに矯正された事になります)、そうじゃないランナーにとっては、どうすればパワーポジションの時に接地位置を重心の真下に近づけられるか、検討もつかないでしょう。そうすると、矯正機能も意味がないものになってしまいます。

スウィートスポットが広い厚底シューズ

そこで、スウィートスポットの広い厚底シューズが人気が出ているんだと思います。スウィートスポットが広いので、パワーポジションでの接地位置が重心の真下から多少ズレていても、カーボンプレートのバネが効いて反発をもらえるようになっています。
と言っても、実はこれは、功罪両面があると思っています。というのは、バネによる反発による助力は、厚底シューズの機能の本質ではないからです。厚底シューズの機能の本質は、あくまでフォームの矯正によるフォームの効率化です。スウィートスポットの「狭さ」は、パワーポジションでの接地位置を重心の真下近くの狭い範囲に矯正する意味があるので、そこが広くなってしまうと、接地位置のズレが大きくなってしまい、結果としてフォームはあまり矯正されない事になってしまう訳です。
もっとも、全く意味がない訳じゃなく、ある程度広くても、その範囲内に接地位置を矯正はしてくれるので、ある程度はフォームも効率性も上がるとは思います。あまりに上級者向けのものを使って全く矯正できない意味がないものになるより、身の丈に合ったツールである程度の矯正をする、というのは意味あると思います。
なので、一番良いのは、スウィートスポットの広さに段階がある事でしょう。スウィートスポットの広いシューズから始めて、少しずつスウィートスポットが狭いシューズに段階的に変えていけたら、最終的に非常に狭いシューズも履きこなせて、プロ並みのフォームで走れるようになるかもしれません。
そういう意味では、現在出ている厚底シューズを、スウィートスポットの広さで並べる作業を、どこかがやってくれると良いんですよね。どこかのランニング雑誌、やりませんか?